木曽川源流部 辰ヶ峰 (1833m) 2010年4月3日
所要時間 5:32 除雪終点−−5:39 沢を渡る−−5:57 尾根に乗る−−7:19 辰ヶ峰 7:30−−8:13 沢を渡る−−8:23 除雪終点
概要
高坪集落の除雪終点より1833m最高点西尾根を往復。尾根下部は雪が消えていたが松の植林で籔は無く快適に歩ける。1496m標高点より上で雪が続くようになるが良く締まった場所が多くこれまた快適。1690m〜1750mは急斜面だがスノーシューを履いたまま下れる範疇だった。その上は緩い登りで展望も開け御嶽が大きい。山頂も展望が良く穂高も見えた。前日付けられたスノーシューのトレースがあったがDJFのものとは思わなかった。下山後、車のバッテリーが弱っているのかバッテリー上がりで動けなくなりジモティーに助けてもらった
乗鞍岳南部には2000m以上の山、近い山がいくつもあるが、山名が与えられたピークは少なく、鎌ヶ峰や烏帽子岳くらいの他は昨日登った日影沢しかない。辰ヶ峰はそのエリアにある数少ない山の一つで、標高は1800mを越える貴重な山だ。地形図では破線が描かれているが実際に道があるかは不明で、ネットでちょっとだけ検索したら1件だけしか出てこなかったのでマイナーな山であることは間違いない。地域及び標高からして道が無ければ笹薮確実で、道の有無が不明ならば残雪期に登るのが得策だろう。
4月に入って本格的な残雪期が到来し、本来ならば新潟方面に出かけたいところだが、今週末は冬型の気圧配置が予想され新潟方面は雪。もう重い新雪ラッセルは懲り懲りなので天候がよく雪の状態も良いエリアを考えていたところ、木曽川源流部と相成ったわけだ。
除雪終点。ここに駐車 | 高くなった橋に積雪あり |
日影沢から下山後、開田村に移動し車でお昼寝。高坪集落を抜けた先で除雪が終わり、橋の上から先は凍った雪が残って危険だし、ここからなら歩いても大して時間は加算されないので除雪終点をスタート地点とする。予報どおり寒冷前線が通過したようで夕方近くから雨が降ったが短時間で止んでくれた。山の上では雪だったかもしれないが、この雨量ならほとんど積もらなかっただろう。鎌ヶ峰から南に延びる尾根のシラビソは白くなっていなかった。
翌朝、天気予報では曇りだが雲の隙間から星が少し見えていたので天候は悪くないらしい。冷え込んで車のガラスはカチカチに凍っており雪質は期待できそうだ。曇っているので明るくなる時間が少し遅く、朝飯を食って5時半くらいに出発。
分岐は右を行く | 小さな沢を渡る |
林道を歩いて二股に分かれるところで右に入り、沢が接近したところで沢に下って渡れそうな場所を探した。このまま林道を歩いていけば林道は沢を越えるのでわざわざ渡渉する必要がないのだが、結構な遠回りになるのでショートカットする利点が大きく渡渉を選んだ。実際に沢の流れを見て水量は少なく、場所を選べば渡れそうだったことは幸いだった。倒木もあって使おうと思ったら上には凍った雪が載っており滑りやすく、沢の幅が狭まったところで対岸に飛んだ。
沢の対岸は急斜面 | 急斜面を上がるとなだらかな台地状 |
低い有刺鉄線 | 林道。地形図の破線の正体 |
対岸は台地状になっており、上に上がるために短い急斜面をよじ登る。ここはまだ薮は無いが雪が付いた部分を選んで歩いた。雪は良く締まり登山靴のままでも全く沈まず快適だ。台地上は地形図通りにだだっ広い緩斜面で方向が定まりにくいが、やや左に進んでいけばどこかで適当に尾根にぶつかるので深く考えずに進んでいく。小さな谷を越えると目的の尾根末端付近で、まだ雪は少なく北斜面側のみ残雪があるだけで尾根上及び南斜面の雪は消えていた。この標高だとまだ笹は登場せず、赤松が中心の樹林で季節になると香り高い菌類が出てきそうだが、周囲には入山禁止の看板は見かけなかったので取れないのかもしれない。途中、有刺鉄線があったが高さは腰ほどで鳥獣避けと判断するのが妥当だろう。途中で林道を横断、地形図の林道から派生してこの広い谷を登る破線は実際は林道だったわけだ。
雪に埋もれた谷を越える | 目的の尾根南斜面は雪がない |
尾根に乗る | 赤松の尾根を進む |
昨日の日影沢と違って急な場所もなく薮のない地面が出た尾根を淡々と登り、1490m肩に到着。左から尾根が合流して傾斜が緩み、この先で雪が連続するようになる。ここの雪も締まっていてスノーシューの出番はなく、ザックの後ろにくくりつけたまま歩き続ける雪。の上には時折カモシカの足跡。それともこの少ない積雪だと鹿の可能性もあるかな。熊棚も見られるがまだ今年は熊の足跡は目撃していない。例年ならそろそろお目覚めの頃のはずだが今年は寒いから遅れ気味なのだろうか。
1490m肩より先は雪が続く | カモシカの足跡 |
快適に登る | 1680m肩の境界標識 |
1680m肩上部の急斜面 | 急斜面をよじ登り中 |
この尾根は階段状に何段かの肩があり現在位置を掴みやすく高度計の誤差がすぐに分かるので便利だ。1680m肩は一段と広く、シラビソが茂って日当たりが悪いようで雪の締りが悪くなりスノーシューを装着。これより標高差60mは地形図で読み取れるような急斜面だが、私が使っているスノーシューは登りなら悪場でない限りアイゼンと同等のグリップ力を発揮する優れもので登りにはめっぽう強く、スノーシューのまま斜面に取り付く。斜面の雪も柔らかいままで、傾斜がきつい分だけ雪面に横方向にかかる力が強くなってスノーシューの接地面積をもっても雪が崩れて足元が定まらない箇所が出てきたが、ここはピッケルの助けを借りて腕に体重を分散させて登り続ける。やがて右方向がダケカンバの明るい樹林だと気づき、おそらく日当たりの関係で雪は締まっているだろうと横移動すると案の定クラストして快適な雪面に変わった。あとはできるだけシラビソの少ない場所を選んで登りつづける。
1760m肩。少し笹が出ている | 境界標識 |
明るい尾根が続く | 間もなく山頂 |
標高1760m肩で傾斜が緩むと山頂までもう少しだ。なぜかここにきて積雪量が減って部分的に笹が顔を出している箇所も見られたが、今はその量は僅かでルートを選べば笹の上を歩かずに済む。この笹が立った状態で一面に生えているのだとすれば、やはりこの山は残雪期が良かろう。この肩を過ぎると樹林の密度が下がって展望が開けるようになり、振り返ると今日も御嶽山が望めた。
辰ヶ峰(1833m最高峰)山頂 | 昨日登ったDJFの足跡 |
辰ヶ峰から見た木曾御嶽 | 辰ヶ峰から見た乗鞍岳。手前が鎌ヶ峰 |
辰ヶ峰から見た北アルプス(クリックで拡大) | |
辰ヶ峰から見た御嶽南部の山々 |
明るい尾根を緩やかに登り続けて最高地点に到着、ここが山名事典の辰ヶ峰山頂だ。ネットで登山記録がほとんど無かったくらいなのでまともな標識は無いと思っていたがその通りで、いくつかのリボンがぶら下がっているだけだった。ただ、予想外のことが一つ。雪の上には真新しいスノーシューの足跡が残っているではないか。これは昨日登った人のものに間違いない。こんなマイナーピークに登るのはどんなやつだろうかと考えたが、下界に帰ってネットを見たらDJFの足跡だった。1日違いのニアミスとは予想だにしなかった。昨日はこちらは日影沢だったから、お互いに山頂が見える場所同志を気づかず登っていたわけだ。珍しいこともあったもんだ。DJFはリボンは残していかなかったらしい。まあ、ここはお手軽な範疇の山だしな。
帰りも同じルートを戻った。
登山以外のおまけ
この山行は無事に終了したが車の方が無事ではなかった。バッテリーがあがってしまい動けなくなってしまったのだ。私の場合、空き時間にノートパソコン(いわゆるネットブック)を車の中で使って登山記録を書いたりDVD鑑賞したりしているのだが、車のバッテリーがあがらないようにサブバッテリーを積み込んでそちらを電源に使用していた。しかし、購入から7年近くが経過してサブバッテリーの劣化が進み、容量はほとんどゼロに近い状況だったので、夜間照明やラジオ聴取のみサブバッテリーを使っていた。車のバッテリーはその間に2回交換していて、昨年春に変えたばかりなのでまだ1年しか使用していない。だから相当使い過ぎない限りバッテリーあがりの心配はない。通常、2時間程度パソコンを使っているがこの程度なら全く問題がない。
今回は日影沢が午前中で終わってしまい、午後は天候が崩れる予報もあって別の山に向かうこともせず辰ヶ峰に向かい、車を置いて昼寝したのだが予想外に天候の崩れが遅くて日差しが照りつけてあまりの暑さにドアを開けて昼寝した。このとき、ルームランプが点灯したわけだが、私の車は前方と後方の2箇所にランプがあるので通常の車より2倍の電気を食う。それにパソコンは計4時間くらいとこれまたいつもの倍程度使用したので、通常よりも電気を食ったのは間違いない。しかし、ネットブックの消費電力は非常に小さく、計測したことはないが12V1Aもないと思う(よほどCPU稼働率が高いソフトは別だが)。ルームランプもたぶん1個当たり300mA程度だろう。軽自動車のバッテリー容量は20AHくらいあるはずで、今回の使用量は全容量のせいぜい25%といったところだろう。でもあがってしまった。もしかしたら中国製等の安いバッテリーで性能が悪いのか? 何せ今年の冬でもセルの回転が重くて心配になったことさえあったし。
このこともあって、サブバッテリーとして20AHの長寿命シールドバッテリーを発注した。ただ、これは内部抵抗が通常より高く、瞬間的な大電流を取り出す用途には向かない作りなのでセルモーターは回せない。でも、弱ったバッテリーを充電することは可能だろう。それ以前にノートパソコンが食う電気を車のバッテリーから吸い上げずに済むので、ライトをつけっぱなしにしたりしなければ大丈夫なはずだ。
バッテリーがあがっては坂道で押しがけでもできる状況でない限りは一人で解決するのは不可能なので、最終的には近所のお宅に頼んで助けてもらった。電話を借りて自動車保険付帯のロードサービスを呼ぶつもりだったが、最初に訪れた家の人に言われて訪ねた2件目の家に、バッテリー上がり時に使うグッズ(内部にバッテリーと充電器が入ってる製品)があり、それをわが車に繋いだら1発でエンジンが掛かった。空になったバッテリーがフル充電されるまでに1時間以上かかるので、その間は下手にエンジンを止めるとセルが回せない可能性があり、中央道に乗って初狩PAまで走り、バッテリーの比重計(色で比重が分かる機械式)で正常を確認してからエンジンを切った。トイレから戻ると、当然、エンジンは無事に掛かった。
しばらくは電圧計を車に常備することになりそうだ。